スクリーンショットと著作権

・目次

1.静止画と著作権

2.著作物の私的な使用

3.スクリーンショットは「複製権」の侵害

 

 文化審議会著作権分科会は、音楽・動画の違法ダウンロードだけでなく、「静止画」の違法ダウンロードも著作権侵害となる方針を発表しました。

www.bunka.go.jp

http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoki/h30_08/pdf/r1413427_02.pdf

 一方、TwitterといったSNSでは、スクリーンショット著作権侵害であると思われているようで、怖くてネットができない、といった声もあるようです。

 そこで、今回は、スクリーンショット著作権との関係について紹介していきたいと思います。

 

1.静止画と著作権

 著作権法には、著作物の例示として、「小説」・「音楽」・「映画」のように、いくつか具体例を示しています。その中で、静止画は、なにをスクリーンショットするかによって著作物が変わります。

 一般的には、以下の著作物にあたることが多いと思います。

・小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物(著10条1項1号)

・絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物(著10条1項1号)

・写真の著作物(著10条1項1号)

 

※著作物・著作権法の詳細については、著作権情報センター(CRIC)のサイトをどうぞ。

www.cric.or.jp

www.cric.or.jp

 

 

2.著作物の私的な使用

 著作権の中には、著作財産権という権利があって、また、この著作財産権の中には、「複製権」という権利があります。

 

 「複製権」とは、著作者は、著作物を、例えば、小説であれば複写(コピー)、音楽であれば録音、映画であれば録画をすることができ、また、著作物を他人に無断で複製されないという権利です(著21条)。

 

 ただし、著作権法には、この複製権が制限される例外として、私的使用のための複製という規定があります(著30条1項 柱書)。著作物は、個人で楽しむ範囲においては、複製することができるということです。

 

 一方、違法にアップロードされ、著作権を侵害する音楽・動画であることを知りながら、その著作物をダウンロードすることは、個人で楽しむ範囲を超えるとして、著作財産権の「複製権」の侵害にあたり、著作権侵害となる場合があります(著30条1項3号)。NO MORE 映画泥棒の映画の違法ダウンロードと同じです。

 

 しかし、このように違法ダウンロードの対象となるのは、音楽・動画だけでした。

 

3.スクリーンショットは「複製権」の侵害

 文化審議会著作権分科会は、音楽・動画の違法ダウンロードだけでなく、「静止画」の違法ダウンロードも著作権侵害となる方針を発表しました。

 

 すなわち、著作権者に無断でアップロードされた小説・写真といった著作物についても、著作権を侵害するものであることを知りながらダウンロードすることは、著作権侵害著作権法違反となる場合があるということです。

 

 これには、パソコン・スマートフォンといった機器で著作権を侵害している画面をスクリーンショットして保存することも含まれます。これは、漫画村のような海賊版サイトに対応したものです。

 

 なお、刑事罰については、、抑止を行う必要性が高い悪質なものに限定するとしており、例えば、海賊版サイトからのダウンロード・原作をそのまま丸ごと複製するような行為があたります。

 

 著作権は他の知的財産権と比べ、身近なものだと思います。

 今や、著作権法は、小学生でも知っている法律です。著作権侵害とならないようにしっかり勉強しましょう。

ゲーム実況と著作権

・目次

1.ゲームと著作権

2.ゲーム実況は「公衆送信権」の侵害

3.ゲーム実況とマーケティング

 

 YouTubeといった動画投稿サイトで、ゲーム実況はとても人気です。

 一方、ゲーム実況動画をアップロードすると、著作権を侵害・著作権法に違反しないのでしょうか。

 そこで、今回は、ゲーム実況と著作権との関係について紹介していきたいと思います。

 

1.ゲームと著作権

 著作権法には、著作物の例示として、「小説」・「音楽」・「映画」のように、いくつか具体例を示しています。その中で、ゲームは、「映画の著作物(著10条1項7号)」にあたります。

 なお、ゲームのキャラクターは「美術の著作物(著10条1項4号)」、ゲームのプログラムは「プログラムの著作物(著10条1項9号)」にあたります。

 

※著作物・著作権法の詳細については、著作権情報センター(CRIC)のサイトをどうぞ。

www.cric.or.jp

www.cric.or.jp

 

 

2.ゲーム実況は「公衆送信権」の侵害

 著作権の中には、著作財産権という権利があって、また、この著作財産権の中には、「公衆送信権」といった権利があります。

 

 「公衆送信権」とは、著作者は、著作物をインターネット・テレビ・ラジオなどによって不特定多数の者に発信することができるという権利です(著22条の2)。

 

 ゲーム実況動画を著作者に無断でアップロードした場合、著作財産権の「公衆送信権」の侵害にあたり、著作権侵害となる場合があります。NO MORE 映画泥棒の映画の違法アップロードと同じです。

 

3.ゲーム実況とマーケティング

 一方、ゲーム実況動画が、YouTubeといった動画投稿サイトにアップロードされ、不特定多数の者に再生されると、ゲーム会社はコストを掛けることなく、大きなマーケティング効果を得ることができます。

 そのため、ゲーム実況動画をゲームのプロモーションに利用しようとするゲーム会社が多くなってきており、所定の条件を満たせば、ゲーム実況動画を著作権侵害とならずにアップロードできるようになりました。

 

(1)任天堂のゲーム

 任天堂のゲームのゲーム実況動画をYouTubeといった動画投稿サイトにアップロードすることに対して、所定のガイドラインに従う限り、著作権侵害を主張しないことを公表しています。

www.nintendo.co.jp

 

(2)プレイステーション4のシェア機能

 プレイステーション4には、プレイ動画の録画・YouTubeなどの動画投稿サイトにアップロードできる機能が備えられています。

 このシェア機能を使い、YouTubeなどの動画投稿サイトにアップロードすることを許諾しています。

www.jp.playstation.com

注:シェア機能が使えない「録画禁止区域」の動画をほかのツールで撮影し、アップロードすると、著作権侵害となる場合があります。

 

 著作権は他の知的財産権と比べ、身近なものだと思います。

 今や、著作権法は、小学生でも知っている法律です。著作権侵害とならないようにしっかり勉強しましょう。